先月、NY先物相場は夏から堅持してきた65セント(ポンド当たり)近くの抵抗ラインを突破、Aインデックスも66セント近辺から69セントへと値を上げた。株価急騰によりダウ工業株平均株価が2008年10月以降初めて10,000を上回り、主要通貨に対して12連続月でドル安基調となるなど、他の市場も綿相場反発に同調した。67セント近辺の取引を新水準として以降、NY期近相場は比較的狭い幅で取引され、最近の不安定な株式市場の影響を受けていないことからも、以前は上値抵抗線であった65セント近辺が今の買支え値になったことが伺える。
綿花市場以外の要因が綿花相場決定に少なからず影響しているとは言え、先月の相場反発の背景にはバランスシートの生産サイドの強気な需給環境があった。なかでも目立ったのは中国綿花協会が発表した生産量の下方修正だが、これと同時に米国中南部全域では長期にわたる降雨があった。中国発表に呼応して、米国農務省の最新レポートは中国生産高を100万俵減とした。米綿生産予測も1300万俵から1250万俵へと50万俵下方修正された。この米国と中国の生産減は、パキスタンとウズベキスタンでの20万俵の生産増加により幾分相殺される。世界生産予測高は100万俵減の1億270万俵となり、2008/09年度比4.5%減、2007/08年度比14.7%減となる。
バランスシートの消費サイドに唯一大幅な修正があったのはバングラデシュ。これはバングラデシュに対する米国農務省の予測方式の構造改変によるもので、これに伴って2009/10年度の消費増加予測のみならず、同国の消費と輸入値が2003/04年度にまで遡って上方修正された。バングラデシュの2009/10年度の消費予測高は95万俵増と上方修正されたが、世界消費予測高は88万俵増にすぎない。世界消費予測が大きくは変わらないまま、世界生産予測が下方修正されたことから、貿易予測高は120万俵増となった。インド(50万俵増)、ウズベキスタン(30万俵増)、ブラジル(10万俵増)と全てで輸出予測が増加している。米綿輸出予測は1050万俵で変化はない。バングラデシュ(95万俵増)、中国(50万俵増)、台湾(10万俵増)が輸入増を予測される一方で、パキスタンの輸入予測高は20万俵減少した。
現在の在庫率47.3%は2008/9年度と比較して8.5%ポイント低い。世界生産量が5年間で最低レベルとなることが予想されることから、2009/10年度の綿花価格を見通す上で重要となるのは、世界経済の回復とその世界綿花消費量への影響である。消費者の需要が増加すれば、綿花消費量を押し上げ、生産量と消費量の差を広げることから、相場価格上昇へと繋がるだろう。しかし、経済回復には不確定さが多く、その不確定さゆえに米国農務省は世界消費量予測高を大きく修正できずにいる。来るホリデーショッピング・シーズンは、緩やかな回復を見せている経済環境と近年最高の失業率という状況下での消費者支出パターンを計る重要な機会となるだろう。 |