最近数週間ニューヨーク先物相場は不安定な様相を呈している。ドル相場の回復と商品取引市場からの投機資金の撤退が相まって商品取引価格全般の下落を招じ、これが綿花相場に波及した。NY期近物はポンド当り67セントを割り込み、12月物も70セントを下回りここ11ヶ月間では最安値。さらに2009年3月物も75セント以下に落ち込んだ。金融信用危機と“商品取引情報公開・報告義務法令(2008年)”の強化を通して商品先物取引委員会(CFTC)がさらなる規制に乗り出すのではという脅威が投機資金の市場からの逃避に繋がったもの。 超党派の支持にも拘わらず(賛成276票、反対151票)この法令は7月30日に行われた下院での表決において可決に必要な3分の2の賛成を得られなかった。
相場と同様、世界綿花生産と消費も大きく変動した。米国農務省は8月度レポートで2008/09年度の世界生産(280万俵減の1億1,220万俵)と消費(140万俵減の1億2,460万俵)を共に下方修正した。減産予測の主因は インドでの大幅な減産(150万俵減の2,400万俵)。 雨季における降雨不足から作付反別が伸び悩み、これが二ヶ月連続の大幅な減産予測に繋がったもの(7月予測は6月比100万俵減)。この8月度予測水準から判断すると、2002/03年度にインドが最初に遺伝子組替え種子を商業生産に導入して以降初めて、同国の生産が前年対比を下回りそう。既に国内向け供給がタイト化し最近数ヶ月で同国の綿花相場は高騰しており、加えて綿花輸出報奨金制度の撤廃と輸入課徴金・関税の廃止もあって、インドの綿花輸入は増加、一方輸出は減少している。2008/09年度の生産予測減少に伴い同国の輸入予測量は30万俵上方修正され、逆に輸出は95万俵下方修正された。世界第二位の綿花輸出国であるインドの輸出減少予測は当然他の綿産国に潜在輸出市場をもたらすことになる。これにより米国(+50万俵)、ブラジル(+10万俵)、ウズベキスタン(+10万俵)は何れも輸出予測量が上方修正された。
しかし、綿花輸入需要は世界経済減速によって抑制される可能性もある。中国の消費予測は二ヶ月連続で引き下げられ(今月50万俵と先月100万俵)、その他インド(-30万俵)、トルコ(-30万俵)、パキスタン(-25万俵)でも大幅な下方修正がみられる。にも拘わらず今月の世界消費予測減少幅はトータルでも生産予測高減少幅の半分に過ぎない。これにより“生産予測”マイナス“消費予測”の格差は1,230万俵に拡大したが、当然現存する在庫がこの格差を埋めることになり、その分だけ期末在庫減少に繋がる(2007/08年対比940万俵減少)。綿産国のなかでも米国の期末在庫は大幅に減少しそう。現在同国の期末在庫は40年来最高水準にあるが2008/09年度は輸出が生産高(1,380万俵)を120万俵も上回る見込み。従来の在庫率と相場の反比例の相関関係(例えば在庫率が下がると相場が上昇する)から判断する限り世界及び米国での在庫低下は来綿花年度にかけての相場上昇の可能性を示唆している。 |